残量75%

2020年4月1日(水)

👨🏻‍💻あっという間に4月1日。あたらしい年度になった。ふり返ると、ちょうど1年前のこの日に「令和」が発表されたのだった。おなじ4月1日のはずなのに、ずいぶんちがう。引っ越し、就職、異動のお知らせなどが届いているが、それどころではない。とくにこの1か月ほど、「新型コロナウイルスの感染拡大に鑑み」というフレーズを多用しながら、いくつもの調整や連絡に時間とエネルギーをうばわれている。立場上、いろいろな意思決定にかかわる場面がたくさんある。今朝は、ちょっとした成り行きから文案をつくることになり、ずっとPC画面に向かって作文をしていた。
日に日に、というより文字どおり刻々と状況が変わっていて、文章を書いているあいだに、そこに書かれた内容がすでに過去のことになってしまう。あたりまえのことではある。ふだんでも、ひと言ことばを発するたびに、ぼくたちは少しだけ未来に移動しているわけで。文案をつくって、何人かの同僚やスタッフに確認してもらって、さらに加筆・修正する。それをくり返していると、どんどん時間が経つ。いろいろなことに気を遣いすぎたり、逆にことば足らずだったり。結局、一通のメールを送るのに半日かかってしまった。ウソみたい。この役目は向いていないのかもしれない、と思う。
ずっと、ウチで作業をしていた。テレワークというやつだ。まぁ便利ではあるが、あらためて、じぶんにとって通勤時間が大切だということに気づいた。自宅でできるなら、そのほうが合理的なことはたくさんある。いまは、とくに満員電車や人混みは避けたほうがいいだろう。
ふだんは、クルマで通うことが多い。運転が面倒に思える日もある。だが、きょうは朝起きてから、ほとんどメリハリもなくだらだらと文案をつくって過ごしたおかげで、無性にクルマを運転したくなった。余計なことを考えずに、音楽を聴きながら、職場に向かってクルマを走らせる。そのひとときは、けっこう大事なのだ。ちなみに、最近のヘビロテはYoung Gun Silver Foxの『Canyons』。現代版のAOR。晴れていれば、富士山を眺めながらドライブできるので、それは悪くない。

少し遡って3月26日。大学院の学位授与式は、関係者だけが集まってネットで中継することになった。竣工したばかりの記念館はピカピカで、館内は一部にまだ養生のシートが貼られていた。廊下を歩くと、「新築の匂い」がした。時間が来て案内され、他の先生がたとともに壇上のイスに座った。本来なら、フロアにはイスが並び、さらに2階、3階の席も、学生たちの晴れやかな姿で埋まっているはずだった。フロアには、映像配信のためのカメラマンとアシスタント、スチル撮影のスタッフ。式次第に沿って、カメラが床をすべる。ちょっと不思議な光景だった。

ぼくの位置から、少し目を上げると通路があって、その先の窓越しに外が見えた。矩形に切り取られた、青空が見える。朝から晴れていて、暖かい日になった。ぼくは、この「主役」抜きの儀式に参列しながら、ずっと窓の先にある空を眺めていた。来年は(その前に秋があるのか)、学生たちとともに、このひとときを過ごしたい。式が終わってから、キャンパスへ。学位記を受け取りに来ていた学生と雑談したり、記念撮影したり。

というわけで、就任からあっという間に半年。台風19号と新型コロナウイルスに弄ばれているうちに、残量75%になった。不安な日が続いている。授業の開始は4月30日に決まり、事態のさらなる悪化に備えて、授業をオンライン化する方向ですすんでいる。きょうの半日がかりのメールも、その連絡にかかわるものだった。まぁそれでも、いまのところじぶんは健康で、やる気もそこそこ。なんだか水を差された感じだが、今年は創設30年。「SFC30」を唱えながら、明日に向かうのだ。
新年度もよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

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写真は3月26日(木)。壇上から。