開店

2023年3月15日(水)

2月のふり返りも、きちんと書けない(書かない)まま3月も半ばになってしまった。やはり、2月は短かいのだ(他の月と、わずか数日しか変わらないはずなのに)。学期末の採点が終わると、すぐに展覧会の準備に負われた。年度のまとめに開いている成果報告のための展覧会「フィールドワーク展」は、今年で19回目。
続けばいいとは思っていたが、実際にこんなに続くことはあまり想像していなかった。そもそも、20年近く展覧会を続けるということ自体は、初めてのことだ。同じことのくり返しのようだが、やはり、毎回ちがう。
展示は、その内容もさることながら、準備をする過程が大切だ。ずっと対面での活動が制限されていたこともあって、準備にかかわる負担や段取りの難しさなどを、身体的に理解している学生は、ほぼいなくなった。これまでは、展示づくりに必要なふるまいが、ことばによらない形で緩やかに継承されきたが、それは途絶えてしまったようだ。だから、一人ひとりが初めての体験として展示づくりにかかわった。4日間の展示は無事に終わり、再会の場面もたくさん生まれた。
次回は、記念すべき20回目になる。これまでの軌跡をふり返りながら、「節目」となる展覧会を開きたいと思う。会期中に卒業生たちと話していて、面白そうな企画も浮上した。新学期がはじまったら、いつも以上に時間をかけて、展示について考えてみるのがよさそうだ。

そして、2月27日(展覧会の撤収を終えた翌日)、Ηヴィレッジの竣工式がおこなわれた。ここ数年は、寮のことにいろいろとかかわってきたので、素直にうれしい。感動である。居住棟の呼称については、ターメリックだけでなく、クミンやコリアンダー、クローブなども入れたかったが、それだと、あまりにもカレーが過ぎる(最終的に、他の3棟はバジル、ローズマリー、パプリカになった)。これまでの経過については、きちんとまとめておかなければと思う
「おかしら日記」の記事に書いたばかりだが、いよいよΗヴィレッジへの入居がはじまる。日に日に春めいてきて、桜の開花宣言もあった。もうすぐ、賑やかな雰囲気になるはずだ。
キャンパスの北側の区画は、整地されていたものの、ずっと木々に隠されていた。Ηヴィレッジへの「入り口」になるのが、共用棟(ソルト)だ(つまり、寮生から見れば、キャンパスへの「入り口」になる)。上手いたとえかどうかわからないが、いわば町家のような感じで、間口として見えている共用棟の雰囲気から、居住棟へと南北にのびているスケール感は想像しづらい。航空写真を見ると、(たとえば体育館とくらべてみて)かなり大きいことがわかる。

3月15日には、共用棟の食堂がオープンした。(年末年始やお盆の時期を除く)月曜日から日曜日、寮生たちは、この食堂で朝食・夕食を食べることになる。共用のキッチンで自炊もできるが、食事がついているのはよろこばしいことだ。
食環境の改善は、ウチのキャンパスにとって、ずいぶん長いあいだ続いている課題だ。ぼくは、ここ数年、Ηヴィレッジの計画にかかわってきた。寮生たちの食環境について考えているなかで、寮生以外の学生、教職員の利用も検討していただけることになった。いろいろな議論を経て、共用棟は寮の建物でありながら、寮生どうしの共用のみならず、キャンパス全体とつながる場所として性格づけられていった。ソルトは、キャンパスと学生寮が緩やかに混ざり合って、きっと面白い場所になる。

その共用棟の食堂がオープンするというので、同僚たちと「一番乗り」を企てた。ささやかな企画ではあるが、じゅうぶんに楽しかった。開店のちょっと前に集合して、予定どおり?「一番乗り」を果たした。定食にも惹かれたが、「カレーキャラバン」(COVID-19の影響でまだ休眠中)のいちメンバーとして、やはりここは「一番カレー」を食べておいたほうがいいだろう。窓に近いボックスシートで、カレー(360円)を食べた。「おうちのカレー」という感じのポークカレーは、上品な味。あの真っ赤なやつではなく、茶色い福神漬けが、存在感を主張せずにのせられていた。
さすがに11:00の「一番乗り」だったので(ランチにはまだ早い)、がらんとしていたが、30分ほどすると、同僚たちがやって来た。なんか、この雰囲気はいい。お昼どきにここに来れば、誰かに会える。そんな場所になりそうだ。もちろん、この時期にキャンパスにいるのは大部分が教職員(そして大学院生か)なので、この平穏なランチタイムは、4月になるとどうなるのかわからない。ここで、たくさんの会話が生まれるといい。

たまたま事務室に居合わせたことがきっかけになって、晩ごはんも食べることになった。朝・夕は寮生のみの利用になるので、ぼくたちが食堂を使うのはランチにかぎられている。役得で、寮生たちにどのような食事が提供されるのか、試食に参加できることになった。ピカピカの厨房で準備された料理をトレイに載せて、テーブルを囲んだ。

写真は3月15日。ソルトのキッチン。