再会

2019年12月1日(日)

11月は、忙しかった。この10数年、「キャンプ」と称して学生たちとともに全国を巡るフィールドワークを続けているが、その一環で、奈良県の桜井市に出かけた。「おかしら日記」にも書いたとおり、長谷寺で朝の「勤行」を体験しつつ、秋の訪れを感じた。その翌週は宮崎へ。今月中旬に実施を予定しているフィールドワークの下見のために、飫肥(日南市)のまちを歩いた。そして「すぎなみ大人塾」(杉並区教育委員会)からお声がけいただいて、カレーキャラバンの活動について講演。実際には、カレーの話をするよりも、カレーをつくるほうがはるかに愉しいのだが、諸々の事情で“キャラバン”のほうは休眠中(そろそろ再開します)。ほどなく、オープンリサーチフォーラム(ORF)。ORFでは、ポスターづくりのワークショップの成果を展示した。地味ながらも、この10年間で48回。続けてきたおかげで、 500名近い人びとに出会い、一人ひとりの日常をポスターにしてきた。その内容を語るピッチにも登壇。撤収。さらに、鹿児島へ。

2008年5月、学生たちとともに、鹿児島の「宇宿(うすき)商店街」でフィールドワークをおこなった。(フォーマルな「大学間交流」ではなかったが)鹿児島国際大学・地域創生学科の学生たちと一緒にまちを歩いて、商店街のようすをまとめたビデオを制作した。当時は、それなりにがんばったつもりだが、いまならスマホで撮った動画のほうが質が高い。10年以上前にアップした記録の動画を見ると、懐かしさとともにツールの変化を実感する。そのこともふくめて、とにかく記録として残しておくとよい。そう思った。11年前のじぶんも映っていた。

そのときにお世話になった河井さんからひさしぶりに連絡があり、「鹿児島県商店街振興組合連合会」が主催する勉強会で話をすることになった。難しい「お題」をあたえられていたが、この10数年間、いろいろなまちの商店街を眺めてきたので、その経験をとおして気づいたことや考えたことを話した。どこまでお役に立てたのかはわからない。講演はともかく、なにより河井さんから連絡をもらったことが嬉しかった。
懇親会も予定されていたので、その日のうちに東京に帰るのをあきらめて旅程を組んだ。せっかくなので、再会を祝って酌み交わすのも悪くない。なんだか歳をとってしまったな、と思いつつ、相変わらずバイタリティーあふれる河井さんを見て、がんばらなくてはとグラスを傾ける。
翌朝は、早起きして空港に向かい、やはり無茶な旅程だったと後悔しながら、羽田空港から藤沢をめざす。ちょっとした電車の遅延で乗り継ぎがうまく行かず、2限開始の時刻には間に合わなかった(複数教員で担当しているので大きなダメージはなかったけど)。

あたらしい役目で、仕事のしかたが変わりつつある。いまは、その変化を受け容れようとしながらも、これまでのしかたを守ろうとして抗っているのだと思う。何かを犠牲にしているという感覚になってはだめだと、じぶんに言い聞かせる。仕事も授業も。キャンパスもオフキャンパスも。11年前のビデオには、電車のボックスシートで、一升瓶(焼酎)を抱えて笑っているじぶんが映っていた。あの頃は、あんなじぶんだった。河井さんとの再会がきっかけで、ぼくは昔のじぶんの姿を確認した。

11月最後の土曜日は大学へ。雨が続いていたが、ひさしぶりによく晴れた。紅葉で、キャンパスが美しい時分だ。落ち葉を踏みしめる。なんだか秋を味わう間もなく、冬になってしまった。師走のはじまり。

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写真は11月30日。ひさしぶりに晴れた。